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黒玉は跳ねてるような転がるような動きで俺に近づいてくる。
質感はマットな感じでうっすら光沢があり、歪んだり戻ったりしていた。
黒玉は音も立てずにどんどん俺の方に近づいてくる。逃げたくても何故か俺は仰向けのまま動けない。
そしてとうとう玉は俺の足元にやってきた。そしてほわわ~んと跳ねた。
次の瞬間には俺はその玉に潰された。強烈な質量を感じた。
蚊が潰れるようなものだった、エアクッションの一つを潰すような
気味の悪い音で目の前が暗転――目覚めるとまた最初からだった。
同じようにまた玉はぐーんと近づいて俺を潰す、俺は動けずに潰される。
それを幾度となく繰り返されたとき、初めて俺は声を出した。
「もうやめてー」みたいなことを涙ながらに叫んだ。
だが黒玉は何の反応も示さずに俺を延々潰し続けた。
最後の方の記憶は何故か思い出せない、音をあげた時が小学三、四年の少年の精神的限界だった。
眼が覚めた時母親がタオルを持って横に座っていた。
随分うなされていたね。みたいなことを言われた。夢の事は黙ってた。
体は一体どこにこんなにあったのかって位汗まみれだった。
熱は夜には37.0℃を下回る凄まじい回復を見せ、翌日にはいつものように学校に行くことになった。
それから数日妙に体が軽く感じたり、デジャブの回数が以上に増えたりした。
まぁだからといって空が飛べるわけでも危険を回避できたわけでもなかったが。
が、一月もすれば日常に戻っていた。そもそもこれは気分と偶々の問題だと思う。
今から十数年前の忘れ難い記憶。ただの勘違い怖い話かもしれない。
いままで数回だけ友人にこの話をしたが、翌日青い顔をしていたのも勘違いだろう。
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