第1話

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入学式――普通の人間なら心躍る一日だろう。だが俺は違った。これから三年間の事を考えると気が滅入って仕方がない。 俺はその辺にいるような凡愚な人間達とは違う。 吸血鬼、俺達はそう呼ばれている。血を吸う鬼、と書かれているが実際の所は俺達は血は吸わないし、ニンニクも十字架も怖くない。だが、光に弱いと言うのは当たっている。 でもまるっきり駄目と言う訳ではなく、長時間浴びると体の調子が悪くなるだけ。 それでもやはり昼間の外出はしんどい。 だから人間のふりをして学生生活をすると言うのは本来絶対にやりたくない事なんだが、俺があまりにダメダメだったから親が『罰として人間の世界で学業に邁進してこい』と決めたから。
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