第1話

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入学式で校長やら担任団やらの話を長々と聞いた後、それぞれのHR教室に集まった。 俺は一番左前の席だった。これではサボるにサボれない。俺は自分の名字に怒りすら覚えた。 対して京谷は右後ろで格好のサボりポジションだった。 京谷の方を見ていると、京谷が口パクで「ドンマイ」と笑顔で言ってきた。あいつは後で一回殴ろう、うん。 さて、程なく担任の教師が入ってきて軽く自己紹介をする。 そして生徒の自己紹介をする事になったのだがトップバッターはもちろん俺。 とりあえず当たり障りの無い事を言っておこう。 「雨森和道です。えーと得意科目は算数です。」 何故か笑いが起きた。先生も苦笑いしている。やはりまだこちらの世界はよくわからない。 とりあえず続けよう。 「後は、まあ一年間よろしくお願いいたしましゅ。」 噛んだ。舌を思いっきり噛んだ。笑いが起きる。痛い。恥ずかしい。最悪だ。初日からやらかしてしまった。 俺はそのまま何も言わず席について突っ伏した。
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