ドッペルゲンガー

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「きた………」     ゆっくり携帯を開き、電話に出る。     「あ、祐二か。いたぞ、お前。電話に……出てる」     電話に出てる?そんなはずはない、オレは今家にいるんだぞ。     「今どこにいる?」   「今、公園の近く。公園のベンチにお前座ってる」   「オレは家にいる………」     受話器の向こうの空気が一瞬にして変わった気がした。     「うそ…だろ?」   「本当だ」   「マジかよ。じゃあ俺の前にいるお前は誰なんだよ」   「オレの、ドッペルゲンガーだ」     数秒間沈黙が続いた。     「来てくれ」   「わかった」     オレは健太に言われる前に自転車に乗って公園に向かっていた。             今度こそ、奴を追い詰める。
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