ドッペルゲンガー

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オレが奴と会ってから次第に奴を見かけるのが多くなった。良夫と健太もオレなのかわからないから話しかけてしまったこともあるらしい。だいたい無視されるという。そして、事件が起こったのは、8月30日夏休み最後の日―――     オレはその日、終わらせられなかった課題を夜遅くまでやっていた。     「あぁ、眠い…」     眠たい目をこすりながら鉛筆を動かしていると、窓がコツン、コツンと鳴った。     「ん?」     オレが窓を見ているとまたコツン、コツンと鳴った。誰かのイタズラかと思ったがこんな時間だ、起きてる人のほとんどいない。じゃあ誰が――――   思い当たる人物は1人しかいなかった。奴1人しか。オレはカーテンを思い切り引いて窓を開けた。庭には、奴がいた。奴はニヤァと笑うと逃げていった。     「あいつ…」     オレは感情のまま走りだしていた。奴が憎い。   玄関を開けると奴が門の所に立っていた。オレが駆け出すと同時に奴も逃げ出した。     そして奴は、オレと奴が会った公園まで逃げてきた。
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