ドッペルゲンガー

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「やっと追い詰めた」     奴はずっとこちらを見ている。     「お前にはさんざんバカにされたからな、その責任とってもらうぜ」     奴は無表情のままだ。何を考えているのかわからない。オレはそれがまた怒りに変わってきた。     「おい、なんとか言えよ!!」     すると奴は、またニヤァと笑ったのだ。もう我慢できない。オレは奴に向かって走りだした。なのに奴は動かない。     「消えろよ!!!」     オレは、奴に思い切り拳を振り下ろした。             つもりだった。オレの拳は、奴の体をスッと通り抜けたのだ。   あたらない―――   振り替えると、奴の体が透けて公園の入口が見えた。そして奴はオレを見ると、さっきよりも口が裂けた位の大きさで、またニヤァと笑った。     次の瞬間、奴はオレに向かってきた。     「や、やめろぉー」
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