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「…にしても、やっぱりなんか騒がしいよな?」
「あー…さっき親衛隊員から連絡来て、さっきから1年が騒いでるって。」
「1年が?何で。」
「…今年、体育祭の新しい種目でゲームのやつが増えたでしょ?それで、自信のある1年が出場者のところに行って聞いて回ってるらしいよ。」
「何を?」
「“お前が俺の対戦者か?”って。学年関係無くね。」
「え?もう対戦者分かってんの?」
「ううん。分かってないはずだよ。分かるのは夏休み明けてからだし。」
「…ようは腕試ししたいんだろ?」
竜樹の言葉に、そういう奴もいるもんかと思う。体育祭まで待てずにウズウズしてるってか。
ま、俺に被害がこないならそれでいい……とか思ってると必ず面倒ごとがやって来るから、普通にしてよう。
と、思った矢先、
「……あんた、バーチャルアクションの出場者だよな?」
「……オーマイガッ…」
いや、不可抗力だ。礼乃と悠と別れ教室に行ったら扉の前にコイツが突っ立ってたんだもん。
もう一個の扉の方に行こうとしたら腕を掴まれて今この状態。
「オレ、チガウ。ベツノヒト。」
「出場者は頭の中に入ってんだ。その中には有名なあんたの名前もはいってた。麻木 湊兎先輩。」
「チッ…何なのよ、面倒ごとは嫌いなんだけど?」
顔も知られてんなら逃げようがねえじゃん。あーもう。つか、何この1年。何気力強いし、ヤンキーみたいだし…俺より少し背が高いし………ムカつくな。
「…おい。そろそろこいつの腕を掴んでる手。離せ。」
「うおっ」
そう言って、俺から1年を引き剥がす竜樹。その顔は若干の苛立ちを見せていた。
……ハッ。もしやこの1年に竜樹が一目惚れをして、俺に触ってるのに腹立って…?
「その妄想はどうにかならないのか?湊兎。確かに、お前に触れた1年に腹が立ってるのは当たってるけど?」
「腐男子だもの、しょうがない運命(さだめ)なのよ。」
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