2488人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺の正体知ってるだけなんて言えばいいか分かんねぇけど…心配するな。今日はただの会合。…ちょっとお呼ばれしてるだけだからさ。」
「………うん。ごめんね、引き止めて。」
「いいんだ。じゃあな、悠。また明日。」
「うん…明日。」
そして悠は力の無い笑みで湊兎を見送った。
(こんな想いするなら…湊兎の正体なんて知らなければ良かった…。余計、不安になるよ…湊兎)
【竜樹】
湊兎が出て行った。たまにあるんだ、こうやって夜に出て行くのが。そんで朝疲れたように帰ってくる。
一体湊兎が何をしてるかなんて知らない。興味が無いと言えば嘘になる。
だって俺は見てしまったから…。
湊兎が本当は変装してるって。本来の湊兎は赤が少しかかったキャラメル色の髪に深く透き通る程綺麗なワインレッドの瞳。
俺はそれを見た時息を呑んだ。本当の姿の方が断然…綺麗で言い表せない程美人で…どこか凛としていて…。見惚れたんだ。
その時思った…。湊兎って…あの八王子湊兎なんじゃないかって。確か一度パーティーとかで見た気がするんだ。遠くからだけだけど。八王子家に近付くなんて恐れ多かったから、遠くから眺めるだけ。
その時、八王子家が来て上の人間が集まって来てた。その中で一際目立ってた人がいた。
八王子家三男、八王子湊兎と…紹介されていて、笑いながら話をしていた。
八王子家はいつだって目立つ存在。綺麗な人しか居ない家だし、権力も馬鹿にならないくらいでかい。しかも、その八王子家で一番と言っていいほど綺麗と言われてるのが、三男の八王子湊兎。
パーティーの時だってあっという間に周りを魅了していた。
そんでそん時なんでか公安局の副局長が八王子湊兎とずっと一緒に居たんだよな。…どんな関係だ?
【竜樹END】
最初のコメントを投稿しよう!