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『では次に、公安局局長から今後の指針についてお話があります。』
え……?聞いてないんだけど。
チラと寺鎚の方を見ると、口パクで
「きっと前持って知らせないようにしていたんでしょうね。地味な悪戯ですよ。」
と、読み取れた。…地味な悪戯って…。これだから頭の堅いジジィ共は…。
「…公安局局長、八王子湊兎です。この度は、防衛省主催の会合にお集まり頂き有難うございます。」
微塵も思ってないがな。
「恐れながら、私はこれからの指針についてなど話すつもりはありません。」
「……ぶふっ」←寺鎚
「へぇ。そうきましたか。」←幹
「あれ?話あるんすよね?」←赤根
「話す気が全然無い局長も素敵ー!!嗚呼…僕のドMが疼くぅぅぅ!」←乞灘
「何を言っているんだね!局長ならば言えて当然だろう!それとも…」
「警視庁、刑事課所属有野警部補。どの分際で私にそんな口を聞くのでしょうか。年のキャリアは貴方の方が数倍上ですが、頭脳と実績だけは貴方より数倍上という事をお忘れなく。」
「……くっ…!」
淡々と、冷たくあしらえばその男は口ごもり静かになった。
「…では話を戻しまして。確かに私は公安局局長です。しかし、貴方達は自分よりも若く、こんな生意気な餓鬼に指針などという事を預けて良いのですか?それこそまた更に貴方達が無能だという事を世に知らしめる事になりますよ?
まあ、私はいいんですがね。指針なんてものを預けてくださっても。その変わり、私に預けたからには…ちゃんと従ってくださいよ?」
それはもう、悪巧みする人のように笑う湊兎だった。すると、次から次へと声が上がり。
「誰だ!局長にあんな無茶振りしたのは!こんな予定はなかったはずだが?!」
「前に出ろ!」
と、俺にこんな事を仕向けた相手を責める警察とかその他諸々。
はあー…こんな単純に操れるなんて…。本当、馬鹿な奴ら。
「局長のあの顔は思った通りに事が進んで楽しんでる顔っすよ」
「そうだな…。無茶振りだとしてもあんな煽る事が言えたんだ。流石局長というべきだろう。」
赤根は何なら遠い目をし、寺鎚に至っては褒め称えるが如く、ドヤ顔をしてみせた。
「では失礼します」
そして湊兎が舞台から降りてくると真っ先に近付いて来る男が居た。
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