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湊兎はホテルの自室に戻ると、すぐに誰かが入ってきた。
「…お前の部屋じゃないぞ。寺鎚」
「局長、伝える事がありまして。」
「………何」
ベットに腰掛け、着ていたスーツの上を脱ぎ捨ててからネクタイを緩める。
「………あまり、煽られると我慢出来ないのですが…」
「何のだよ」
「いえ。本題に戻ります。局長、暫くしてから学園を長期休学してもらいます。」
「……は!?」
素っ頓狂な声をあげた湊兎。寺鎚は目を細め見据える。
て、待て待て待て。確かに俺の素はこんなんで警察界のトップグループである公安局の局長で八王子家の三男であぶない橋を何度も渡ってはいるが………、
間違っても俺は腐男子だ!!
それが長期休学なんてして暫く萌えが見れなくなるだと!?
俺には拷問も同然だ!
「…待て、寺鎚。これまでだって学園に通いながらなんとか事件解決してきただろ。何で長期休学なんか…」
「決定事項です。今回ばかりは長くなりそうなんですよ。北海道で起きた奇怪な事件。これは公安局でしか解決出来ないと総務省からのお達者でして。」
あんの老いぼれ共……!いざとなれば失脚させれるほどのネタはつかんでるんだからな…。覚えとけ。
「……連れていくのは第一部隊だけにしろ。どうせ第二第三は他の任務で居ないだろうし」
「ええ。では、明日からですので…」
「明日か……分かった。じゃあ今日は寮に戻る」
「車を出します。下で待っていてください。」
そして、寺鎚は部屋を出て行き車を取るため駐車場に向かった。
また暫く戻らないと言ったら…竜樹怒るか?何で何も言わないんだって……。
竜樹。入学してからずっと一緒に居てくれた親友。竜樹のおかげで学園では普通で居れてるし、悠や礼乃とも仲良くなれた。
だから、そんなお前に言えないのは…俺だって辛いんだぜ。
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