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ロング缶が半分はなくなった頃
「んで、三田?」
「ん…?」
三田の顔は真っ赤だ
いや、ま、酒に弱いのは知ってるけど
酔ってる方が本音聞きやすいかな…なんて思ったわけよ、オレとしては
「何か悩みでもあんのか?」
「悩み…?」
「泣いてたみたいだし…」
三田がハッとした顔をする
「浅草には何も隠せないな…」
困ったように眉を下げて微笑む
「いや、ちょっと昔を思い出しちゃっただけで」
ほら、数年ぶりに雪だろ? と窓の外を指す
「忘れたはずだったんだけどな――」
そう言う三田の瞳に涙が浮かぶ
「泣くなって」
仲間が泣く姿なんて見たくない
オレは手を伸ばすと三田の頭を撫でる
「ん、ごめん浅草。心配させちゃった?」
「かなりな」
「ごめん…」
涙の残る顔で笑う
オレはその涙を拭う
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