童貞の前夜

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誰かを思うこと、誰かを好きになること。 誰かに思われること、誰かに好かれること。 仮に世界をこの2つの立場で分けてしまったら、果たしてどちらの方が幸せなのだろう。果たしてどちらの方が楽しいのだろう。 偽善者は恐らく、思う側に一票を投じるはずだ。誰かを思うことは綺麗な気がする。 ひねくれ者は恐らく、思われる側に一票を投じるはずだ。誰かに思われることは贅沢な気がする。 気がする、気がする。 どうして俺がこんなことを考えているのか、しかも憶測でしかないのか、あなたにはわかるだろうか。 一人寂しく過ごす夜が、こんな思考で埋まる気持ちがわかるだろうか。 もうすぐ三十路を迎える童貞の焦りを、あなたは知っているだろうか。
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