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すっかり日常と課したこの風景
俺が彩奈を抱えて、赤メッシュに寄りかかる。
俺も彩奈もいい匂いに誘惑されて時々全身を凭れる。
赤メッシュには、辛い態勢だと分かっているので、ひぐらしの鳴き声に集中する。
ピンポーンピンポーン
誰だ?
「秀樹ただいまーお土産無いわよ」
最初に通告される。
「じゃあ、俺はこれで」
そう言えば、以前赤メッシュはあんな表情をしてたっけ?
「母さん彼は向井修一で…」
「あら!恋人って選択肢あるけど?」
忘れてた…母さんにはそう言う意味でも隠し事出来ない。
「向井君帰らなきゃダメなの?」
「いえ、邪魔と思いまして」
「何で?」
厄介な状況にストレスを感じたのか、彩奈はまたアレが始まってしまった。
抱っこしてやるとハンカチの様なタオルをクルクルし始めた。
「とにかく、お土産無いわよ?」
お土産にうるさい母親を残し赤メッシュとリビングに帰った。
「いやー、グアムって素敵な場所ね!父さんも秀樹に宜しく言ってたわ」
久しぶりねー彩奈ちゃんと言いながら彩奈に思い出してもらおうと必死のようだ。そーなの そーなの と繰り返している。
「あたし疲れたからご飯作れるんでしょ?作ってくれない?」
と
母親放棄を決め込んでる。生活費の残りを渡しながら、夕飯の仕度をしようとしたら
「あら!だいぶ残ってるのね。彩奈ちゃんいるから多めに置いて行ったつもりでは あったけど、、」
「家計簿つけといたから」
んまあ!と言いながら、赤メッシュと何やら話ししてる。
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