後門の狼 前門の虎

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水を張ったバケツというのは、そう重くは無い。 二つ持っていても、たいして重いとは感じないもんさ。 右の方を向くと、赤メッシュ達も バケツを持って立っているのが分かる。 夏休みの宿題というのをすっかり忘れた俺は、廊下に立たされている。 この学校は 実に面白い校風を持つ。 「柿崎くん反省した?」 「いいえ」 この状況を楽しんでいたため、天邪鬼というやつになってみた。 「もう、2時限目も立ってなさい」 「はい」 赤メッシュの事が気になって仕方ない。 時々アクビしたかと思うと、腰をいれ直して今度は 左足を前に出してる。 カッコいい・・・・ サトちゃんもバケツを持っているのだが、水が入っていない様だ、振り回して遊んでる 男の娘とは、便利な特技だ! ところで、隣でもバケツを持って立っている青年がいる。 ・・・・ 「元気…だったのか?」 「あぁ」 毎日 電話はしていた。 出ないと分かってたけど、心配で… 先生にそっとしてやってくれと言われたので、電話しか出来なかったが、出ては貰えなかった。 「夏休みさ、イロイロあったんだぜ。今日は一緒に帰らないか?」 「ごめんだね…」 やつれて 痩せ細っている。髪も坊主になって目が落ち窪んで、どこを見ているのかさえ分からない。 尚也・・・・ 何があったんだよお前
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