逆境に強いのは主人公だけ

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【視点切替】 翼にこびりついた血を払う。 やはり人間は貧弱だと痛感した。 背後で物を言わぬ屍となった肉を眺めて。 「哀れ…」 一言に過ぎない。 弱いからこそ人は群れを成し、身を守り合う。だがしかしそれを自身の力と過信し、集団心理に身を任せた結果。 容易く脆く簡単に絶命。 強き猛者を求め大陸を超え、この島国に降り立ったが、やはり此処にも居ないようだ。 私の後継者となるべくして生きる者は…。 「どこだ…」 ボロく寂れたこの建物を歩む。 期待はして居ないが、しかし姿を見られたからには死んで貰う。 私の計画が狂わぬ内に、不安の材料は消して置かねばな。 そう考えつきながら歩くも、とうとう屋上まで来てしまった。 扉に手を掛け、開いた瞬間。 後頭部に、骨の軋む音と共に、強烈な痛みが発生した。 視界が光を放つが如くパチパチとする。 もう一撃。 今度は床に倒れ込んでしまった。 「ぐっ…!?」 それから容赦ない打撲の連打。 立ち上がる隙も与えない無慈悲な攻撃。 眩む視界の中、攻撃の方向に研ぎ澄まされた爪を突き刺す。 「ぐはっ!!」 呻き声と共に攻撃は、止まった。 そして定かでは無い視界で攻撃の犯人を覗いた。
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