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「お前の敗因はただ一つ」
「…………」
私の敗因…。
いやまて、私はコイツの実力で負かされたわけじゃないぞ。運が悪かっただけだ。
……まさかコイツ。
「…察したみたいだな。お前は俺に関わったから負けたんだよ」
巻き込み型不幸体質か。
……ごくまれに居るんだな。周り諸共不幸に見まわれる地雷みたいな奴。
「お前は、俺の不幸に呑まれたんだよ」
………納得いかない。
すごい悔しい。
こんな人間災害みたいな奴を敵に回してしまうなんて…。
「さて、お望み通り。トドメさしてやるよ」
そういうと、地震の所為で引きちぎれてしまったと思われる、先の尖った鉄パイプを私に向ける。
「…………」
「恨むなよ?正当防衛だ」
なにが正当防衛だ。聞いて呆れる。
……まあ良い。
そして男は呆気なくも躊躇なく――
「かっ、…はっ!」
――男は私の心臓を貫いた。
「うわ、やな感触…。トラウマになるわ」
男は鉄パイプを私から抜き去り少し眺めるが、あまり楽しく無さそうに鉄パイプを放り捨てた。
そして私を確認し、特に哀れむ事も蔑む事も無く、興味が無いのだろう。目をそらした。
「じゃあな悪魔っ娘ちゃん、また来世」
次は良き出会いになるように、と呟き、歩き去った。
「…………」
……間違いなく私は死ぬ。
崩れた瓦礫の所為で身動きもせず、心配機能は衰えるだろう。
生き残る確率は0。縋る藁も無い状態。
だが死は怖くない。
私は心の中で、あの人間を笑ってやった。
「……来世まで…待たずとも、…すぐ…あえるさ…っ」
………やっと見つけた。
私の後継者になりうる存在を………。
【視点切替終了】
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