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すると、本人は助けたつもりでいるのだろう。僕に笑顔で「大丈夫だった?」と聞いてきた。
ねぇ、吐いてもいい?
いいよね?
「あ、ありがとうございました。では、僕……遅刻しそぉえっぷ」
口を押えながら、駅へと向かう。危ない、危うく朝食を戻すところだった。
後ろで「あっ君、名前は?私の名前は────」とか、何か言っていたが聞かなかったことにする。
駅の改札を抜けると、電車が丁度ついたところだった。そして僕は、〝男性専用車両〟に乗り込む。
ふぅ、とため息を吐く。
そして先ほどの主人公の顔を思い出す。
あれは、罰金ものの顔だろ。存在しちゃあかんやつだろ。
無心で電車に乗っていると、学校の最寄りの駅に到着した。
電車を降り、改札を出る。そこには僕と同じ制服を着た男女がそこらかしこに見かける。
それと同時に、ひそひそと声が聞こえる。
「あ、あの子よくない?」
「ほんとだ!声かけちゃおっかな」
「ちょ、抜け駆けはダメだよ!」
ヒソヒソと話していたのは、上から順にブタ、イノシシ、ゴリラだ。
うん、我ながらピッタシだと思う。
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