第1話

15/19
前へ
/26ページ
次へ
僕がそこそこ可愛い子(僕にとってブス)を近くで睨みつけていると、担任の先生が騒ぎに気付いたのかやってきた。 「いや、なんでもないですよ」 僕はそう言って、ブスから離れる。ブスが顔を赤らめたって気持ち悪いだけなんだよ。 そう口には出さないが、心の中で毒を吐いていないとやってられない。 なぜこの世界は、醜いものが美しいもの(女性限定)よりも優れているんだ。 ただの醜悪な女が男にもてはやされ、いい気になり、僕に絡んでくる。 君こそが私にふさわしい、とでも言わんばかりに。 頭に乗るな雌豚が。 「先生、折田さんが貧血で倒れてしまったので、僕が保健室に連れて行ってもいいですか?」 「そんなことは男の子がやるのではなく、女の子に任せなさい。ちょっと、そこの子たち手伝ってくれるかしら?」 そう言って、女子生徒数人で折田さんを担ぎ、廊下の奥へと消えて行った。 「夕、ちょっとさっきからおかしいよ?熱でもあるんじゃない?」 「おかしい?どこが」 「ほら、急に……その……折田さん、に……だき、抱き着いたり……」 後半は顔を赤らめ俯き、モジモジしながら話すその様は異様に僕をそそった。 「…………はっ!?」 いかん、こいつは男だぞ?
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加