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ついでに僕も男だ。
これじゃヴォーイズラァヴ、になってしまう。この世界では百合と呼ばれているが……。
「いや、ちょっと折田さんをからかってみただけだよ。他意はないよ……ちょっとやり過ぎちゃった感が否めないけど」
「そ、そうだよね!」
僕がそう言うと、赤さの残る顔を上げ、僕に笑顔で答えた。
「あ、あれが天使の微笑み……」
「私、この学校に来てよかった……」
「青林高校の2大天使の誕生だ!」
そんな言葉の数々が聞こえてきたが、すべて聞こえないふりをした。
入学式も終わり、放課後。
僕は未だ目覚めない折田さんを隣で見ていた。
いや、少し悪ふざけしすぎたかなぁなんて思っちゃって、罪悪感がね。
罪滅ぼしとかじゃないけど、折田さんが目を覚めるまで居ようかなって思って。
入学式は午前中で終わったので、今はまだお昼前だ。
陽翔は母親と一緒に帰路に着いた。僕の両親は来なかった。と言うか、来させなかった。
今日は保健室の先生は来てないらしく、保健室には僕と折田さんしかいない。
大半の生徒は帰宅途中だろう。僕たちの先輩方は一部を除いて休みだから、この学校には先生と生徒は僕ら二人くらいしかいないだろう。
いや、もしかしたらいるかもしれないが。
折田さんの寝顔を見ながらそんなことを考えていると、んぅ。と言う声と共に折田さんが目を覚ました。
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