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僕は洗面所の前に立ってため息を吐く。
「確かに、確かにイケメンにしてくれって言ったけどさぁ」
鏡に映る、少なくともイケメンとは呼ばれない、むしろ可愛い……つまり男の娘と呼ばれる顔つきをした少年がいた。
「しかも、身長150cm止まりってどういうこと?」
確かに、転生する際にイケメンにしてくれって言ったさ。言ったけども、この世界の住人にとってのイケメンだったとは……。
そしてさらに、僕は男として転生を頼んだ。その前にイケメンにしてくれって頼んだから、もちろん男として生まれてきた。生まれてきたんだが……。
「この世界での男の立ち位置が前の世界と逆転してるとは、思わなかった」
この世界では男性が守られる側で女性が守る側……。
思春期の女子と言ったら、性欲盛んな年頃、つまり前の世界で言う男子の立ち位置。
痴姦に遭うのは男子、強漢するのは女子。
そして一番重要なのが、美醜も逆転していると言うことだ。
僕にとって『何コイツ、マジぶっさいく』って思う奴がこの世界では絶世の美女。
逆に、僕にとっての美女がこの世界では『何コイツ、マジぶっさいく』な役割になっている。
でも、男に限ってはそうではない。顔を歪ませたくなるほどのイケメンはこちらの世界でもイケメンだ。
ただし、イケメンよりも男の娘の方が、需要がある。
さらに、男と言ったらひ弱で女性と体の構造が違うのか、筋肉が発達しない。
故に、この世界の男性は皆体の線が細い。
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