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陽翔は僕と違い、背が高く目がキリっとしていて、どこか大人びて凛としている。
あー、僕もそれくらい身長が欲しかったなーと思いながらも、ニコニコとしている陽翔の手を取り、握手を交わした。
そして同時に思う、モテるなこいつ……と。
でも、モテてもあの動物園みたいなのに囲まれてもなぁ。と思うのも事実。
「夕はどこの中学だったの?」
鞄を机の横に掛けて、椅子に座ると椅子ごと後ろを向けて陽翔が話しかけてくる。
「僕は、この近所の学校じゃないんだ」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ、電車通学?」
「そういうことになるね」
「家はどのへん?」
なんか矢継ぎ早に質問されているが……。
「僕の家?僕の家は────」
そう言おうとした時、複数の男子の声にやや迷惑がっているが決して嫌じゃない雰囲気で困っている女子の集団が教室へと入ってきた。
「げっ」
思わずそんな声が漏れてしまった。
それは今朝、僕をナンパ女から助けると言う名目で、ナンパしてきた主人公だったからだ。
同じ学校の生徒だったのかよ……しかも、同じクラス……。
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