闇と炎と悪意と

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 中に入ると、どうやら中に付けたわけではない、と気がつく。中に火を付けたくなかったのか、外から付けても中まで燃える、と思っていたのか、或いは別の目的か。  有悠もおきくもそんなことを考える事もせずに、目的に気付いた。奥に封じられている筈の闇が活発化をしている。  完全に封じ込める事は自然の流れに逆らう為、見極めた限界で封じているだけで、少しだけではあるが闇は出ている。だが、その多くの闇を封じている祠の封印が、おかしい。  例えて言うならば、ぴったりと隙間なく、くっついている障子を指一本分開けて風が通り抜けるように細工をして有ったのに、それが障子に穴が開いてあちこち風が通り抜けてしまっているような。
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