序幕

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 自分が産まれた時、既に二十歳を超えていたのだから、三歳でかの女性を見た時は、齢二十六を迎えていたはずだった。  どういうわけか、力を持つ女は外見年齢と実年齢が合わない時期がある。二十代半ばと言えば、その時期に当たる為、見た目は十代に見えたわけだが、三歳の幼子からは大人に見えていた。  輝くばかりの美貌は、忌まわしき因習に因って生まれた為にもたらされたからなのか、それとも内面より自信が溢れていた為なのか。とにかく、その時は、かの女性が遠くて神様のように思えていた。  そして何より。  決して笑わない冷たさが、余計に美しさを際立たせていた。
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