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青空に太陽が輝く暖かい村。
賑やかな声、笑い声がする明るい村。
今では見なくなった古い藁で作られた屋根の建物が、点々と広い範囲に多く建てられて、畑もある。
そんな村の一角に幼い子供が一人、住んでいた。
「化け物出て来ーーーい!!」
「あはははっ!化け物出て来いよーー!」
笑い声を上げて子供が何人も建物を囲んで石を投げつけている。
その建物の中で幼い子供は小さくなり、体を震わして涙を流していた。
「僕は……………。僕は……………化け物?」
止むことの無く投げつけられる石、そして止むことの無い罵倒。
男の子の小さな体には、大きな悩みと苦しみがあった。
「僕は──」
あるとき男の子のもとを一人の男性が訪れた。
男の子は驚いて部屋の隅に小さくなった。
「君は偉いなぁ。あっ悪い、そんな隅に行かなくて、こっちに来てよ!」
男性は優しく男の子に微笑んで、手招きした。
男の子は警戒しながらもゆっくり出てきた。
「どうして?」
「君の力は強い、誰よりも何よりも。きっとこの世界で一番強い。けど、君は力を誰に対しても使おうとしない。自らが疎まれようと怨まれようと、誰かに力を使わない」
「僕は弱いから」
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