出発準備

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たーくん、 たーくん、たーくん、 たーくん、たーくん、たーくん!! どこに行くの? るりもつれてって? るりね、しょおらいはたーくんとけっこんするの! えへへーやくそくね? ずっとずーっといっしょだよ? だいすき!! ──────────────── ───────────── ──────── 遠い記憶。 結婚がどういうものかもよく知らないで、あなたに無理矢理指切りさせたあたしは相当めんどくさい子どもだったと思う。 自分で思い出しても恥ずかしい。 それでも、あなたを思う気持ちは今も変わらないの。 だからといって、あなたを我が儘で縛るほど子どもではいられないことも分かってる。 自分の気持ちを制御することもいつのまにか覚えて、あたしの気持ちに気づいてる人ももう多くはないと思う。 周りの人からしたら、普通に仲の良い使用人とお嬢様。 ──なのに あなたはあたしが11歳の時なんの相談も無しに家を出ていった。 あのときあなたは18歳だったけど、大学を卒業しても戻ってはこなくて、今も全寮制のその学園で教師として働いてる。 別にそれから一度も会ってないわけじゃなくて、ちゃんと年に一度はこっちに帰って来たし、お父様とお母様には頻繁に手紙で近況報告してるみたい。 ただ、あなたはあたしを避けるようになった。 あからさまではないけど、手紙があたしに届いた事はないし、そもそも家を出て行くことをあたしに伝えなかった事からしておかしい。 やっぱり、あたしと距離を置くために出ていったんだろうか。 あなたはあたしの気持ちに気付いていたから。
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