出発準備

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あたしの想いはきっと十分過ぎすほど伝わってる。 告白なんて直接的なことはしたことないけど、あなたは7つも離れてて、産まれた時からあたしを知っていて、恋愛経験も多分豊富で。 それでも応えてくれないのはやっぱりあなたからしたらあたしは恋愛対象じゃないってこと。 ………分かってるよ、それぐらい。 何度も泣いたよ? あなたも諦めの悪かったあたしに困ってたんでしょう。 でも仕えているお嬢様に恥をかかせたくないから職を止めてまであたしから離れてくれたんだよね。 あなたが出ていった直後は何が起きたのかも分からなかったけど、これでもお父様の事業を継ぐためにそれなりの教育を受けてきたんだから自分がどうすべきなのかはすぐに判断できた。 あたしを思ってしてくれた離れる、という決断を無駄にしないために必死であなたを忘れようとしたんだよ。 それでも、諦められないまま、4年が過ぎた。 あたし、神代 瑠璃香(カミシロ ルリカ)は来月から高校生になる。 「我が儘聞いてくれてありがとう。お父様、お母様。」 あたしが着ているのはこの前まで着ていた女子校の制服じゃない。 今年から通うのは、私立ユメジマ学園。 ………あなたがいる場所。
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