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────バンッ!!
「どういう事だよ!?」
静かな室内にこだまする上質な木材に出席簿を叩きつける音と俺の声。
「神守君、落ち着いて下さい。」
普段なら従うその凜とした声にも、今は耳をかす余裕がない。
そもそも俺が答えを求めているのはその人ではなく、目の前の男だ。
でもそいつはニコニコと胡散臭い笑顔を顔面に張り付かせてるだけ。
「聞いてんだろ!?…アル、何企んでる?」
睨むこと数秒。
「んー別に企んでるわけじゃないよ?」
少し困り顔で何気なく横に控える先程の声の持ち主に助けを求めてる。
助けを求められたアリスさんはため息をついてそいつを一睨みしたあと、俺に視線を移した。
「それで、どうしたんですか?」
逃げやがったそいつを俺も睨みつけてから、視線をアリスさんに、そして自分の手に握られた出席簿に落とした。
俺の名前は神守 惟志(カミモリ タダシ)。
22歳…あぁもうすぐ23か。
ここ、ユメジマ学園で大学教育を受けてそのまま教師として働いている。
今年で3年目。
ここは日本政府が、『精神的に障害を持つ人間、超人的頭脳を持つ人間が凡人と生活を共にする事により互いに生じる影響』という実験目的で作った学校だ。
そして今この学園の運営の実権を全て握っているのが目の前の男。
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