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「そ、そういうことじゃ……ないけど」 「あのクラスの帰宅部は数人だし、直に帰る」  この教室に近づく二人の会話を聞き、僕は急いで立ち上がった。  何となくここにいては不味い気がした。  急いで帰らないと!  しかし、二人の足音は予想以上に近かった。   「……どうしよう。どうすれば――」  鞄を抱えて辺りを見渡していると、あるものが眼に入った。  一旦、あそこに隠れよう。  僕は掃除用具入れに身を隠した。  それと同時に二人の男子生徒が教室へ入って来た。 「ほら、誰もいないだろう?」 「そう、だね」  僕は掃除用具入れの僅かな隙間から盗み見た。  そこには、体格の良い長身の男子生徒が一人。  あれ? あれは確か……  もう一人の生徒。  平均的な身長と左目だけ髪で隠した生徒。  間違いない。瀬斗(セト)君だ。  彼、日永(ヒナガ)瀬斗は僕のクラスメイトであり、幼馴染みだ。  「でも、外にもいっぱい人いるし……」 「ならさっさとしようぜ」  
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