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自分は間違っていない、はずだった。
「自分の信念をつらぬく」
とは聞こえが良いもので、言い換えれば「頑固者」。
自分でもしていることは古風で、要らぬ努力なのかもしれないことも知っていた。
一世一代の大勝負、とまではいかないが、一連のことを先生に相談するのは、大きな決心が必要だったわけで。
つまりそれが、俗に言う「チクる」ことになるんだろう、なんてのほほんと夜を過ごしていた。
チクる人間は好きじゃないし、必要ないことまで言うな、と怒鳴りたくもなるが、そこはこらえて。
ことの発端は、内田と石原の態度だった。
部活動の後輩で、何もしなければ、大切にしてやんなきゃいけない後輩だったのかもしれないが、彼女らの態度は、自分が馬鹿にされているようで不快だった。
でも、こっちは十数年も生きているし、先輩なのだから、こっちが我慢しよう、なんて考えていた。
だから、自分が馬鹿にされても、笑みを浮かべながら、「そんなことないよ」とおどけて見せていた。
それが一変したのは、雪が溶けかかる弥生下旬のことだった。
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