ある昼下がり。

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「りっちゃん、大好き。」 「あー、はいはい。そりゃどうも。」 「……りっちゃんは俺のこと好き?」 「……じゃなきゃ付き合ってないっての、こんなバカ男。」 呆れてため息をつきながら答えたのに、なぜか輝く笑顔を向けてくるバカ男。 「りっちゃん!」 「うおっ。」 そしていきなり抱きつかれた。 「苦しい!は・な・せ!」 ぎぎぎ、と引きはがそうとしてもその倍以上の力で抱きつくバカ男。 「やだやだやだ!りっちゃんは俺のものだもん!俺の彼女だもん!離さないもーん!」 ぐりぐりぐりと頭をこすりつけてくる将平に、私はもう抵抗する気をなくした。 そのまままたリビングに戻りソファへ。 雑誌を奪われ、肩に頭を乗せてきた将平によってまだやっている子犬特集を一緒にみる羽目になった。 普通は逆だって? いやいや。 うちは〟こっちが〝普通です。 「かわいいなぁ。俺も将来飼いたいなぁ。」 なぜかこっちを上目遣いで見てくる。 本当に男で、本当に25歳の成人だとは思えない。 「飼えばいいじゃない。」 視線を無視していれば、腕を絡める将平。 「りっちゃんは鈍いんだから。俺が『将来』って言った意味わかってないね? 俺は、りっちゃんとの家庭の中で飼いたいな、って言ってるのに。」 「………。」 .
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