ある昼下がり。

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これは俗に言うプロポーズに入るのだろうか。 私はしばし固まってしまった。 「りっちゃん?聞いてる?」 「うん。聞いてた。」 「もーう。じゃありっちゃんは何犬がいい?俺は小型犬がかわいいなぁ。ジャックラッセルテリアとか! 子供とかとも一緒に遊べそうだし!」 子供。 それは案に私とお前の子供と言うことかい? とは言えず、適当に相槌を打っておいたのだけどしつこい将平は何犬が良いかと聞いてくる。 「大型犬。」 「大きい子かぁ。確かにそれもいいかもねぇ!」 お前に意志は無いのか、と言いたくなるが抑える。 私の意見に反対しないのはいつものことだから。 「……りっちゃん。」 「ん?トイレ?」 急にモジモジし始めたからトイレかと聞くと「違う!」と憤慨する。 ならなんなのか。 「俺、さりげなく今ちょっと……ぷ、プロポルス……。」 「は?」 将平の言いたいことは分かるのだが、プロポルスってなんだよ。 一応私も乙女だから、ちゃんとそういうことは言って欲しい……とか急に女らしいことを言ってみる。 すると将平は意を決したようにバッと顔を上げ、私の両手を掴んできた。 .
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