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「り、りっちゃん。何もそんな怖い顔しなくても……。」
それをちょっとハラハラしながら見ていた将平は私の手を握って来た。
「……ちゃんと手、洗ったんでしょうね。」
繋がれた手を持ち上げながら尋ねると、バッチリ☆と笑う馬鹿男。
ふん。
そんな笑顔になんか騙されないんだから。
「あれー?りっちゃん照れてるの?かわいいー!」
「うるさいバカ男。騒ぐなって言ったでしょ。」
「はぁーい!」
はぁー。
言ってる傍から握った手をブンブン降りながら元気よく返事をするこの男。
仮にも結婚を口約束した相手だとはあまり思いたくないな、とちょっと後悔したのであった。
「わ!見てよりっちゃん!これすごい変な顔してる!あはは!でも怒った時のりっちゃんに似てるかも!」
将平がうるさいので言われた水槽を覗けば。
……おいおいおい。
やたら厳つい顔の魚じゃないですかい。
私はこれに似てるってのか??
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