プロローグ

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月の光だけが彼等を照らす。 向き合う両者は、お互いに睨み合ったまま動かない。 少しして、鮮やかなピンクのフードを被った、一人の女が進み出て叫んだ。 「かかれぇ!!!」 女の叫びを合図に、両者が一斉に走り出す。 辺りに怒号が響き、地面を紅く染めていく…。 龍帝(リュウテイ)VS 光龍(コウリュウ) 県トップを争うチーム同士の全面抗争。 勝ったのは……龍帝だった。 そして、長期に渡って続いていたトップ争いは、この県史上最大の抗争で幕を閉じた。 県トップになった龍帝。 その龍帝を治めていたのは、中3の女総長だった。 抜群のスタイルに動きの優麗さ、 風にたなびく黒髪に混じる紫色の髪… それらの容姿から彼女は 「艶麗の紫姫(エンレイノムラサキヒメ)」と称され、 「紫姫(シキ)」と呼ばれた。 彼女は、圧倒的な強さで龍帝をトップに導いた。 そして多くの伝説を残し、 皆は恐れ、慕い、憧れた。 しかし、ある事件がきっかけで、彼女は姿をくらました。 ー花沢舞香という、社長令嬢の姿に戻って。
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