有木直也の登場

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「はじめまして、光龍さん」 そう言った男を舞香は睨み付ける。 そんな舞香の表情をみて男はニヤっと笑った。 「お前誰だ?」 凌がどすの聞いた声で尋ねる。 男は表情ひとつ変えず、微笑んだまま答える。 「おっと、自己紹介がまだだったね! 俺は有木直也。よろしくー」 そんな有木直也の様子に凌は怪訝な顔をする。 ふざけているのかふざけていないのか、直也の表情からは何一つ読み取れない。 「何者だ?」 「あ、俺? んとね、龍帝の総長かなー」 「お、お前が…!?」 この場にいる全員が驚く。 今までいくら調べても出てこなかった龍帝総長が自分から身元を明かしたからだ。 何も発せない4人を直也は鼻で笑う。 「んー俺が自分で話進めなきゃいけないの? めんどくさー。 …まぁいいや。 単刀直入に言うとねぇ、 君たち規則取り消したくないでしょ? 今なら取り消さなくて済むよ。 …条件さえ飲んでくれたらね?」 直也の言葉に全員が反応する。 「お前が規則を取り消すって言い出したんだろ!?」 「落ち着けって、瑛。 …条件ってなんだ。」 挑発してくる直也に対し 凌は冷静に対応する。 「ふーん。面白いね。 あ、条件?条件はねー 春輝くんを上層部に頂戴。」 「はぁ!?」 4人は直也の言葉に固まる。 上層部とは、 県内で起きた族同士の争いの処理や、 2年に1度行われる県内の全ての族が集まる総会を管理する。 上層部に入れるのは腕のある人だけで、 上層部に憧れる人も多い。 だが、上層部は裏社会にも流通していて危険な仕事にも手を出している。 上層部の評価は賛否両論だ。 「で、どうする?」 直也は楽しそうに笑いながら言う。
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