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この時間帯はとある講義が始まっており、本日それ以降講義は無い。
そのため受けている者以外は基本的には帰っているはずだ。
そして、この物好きしか来ないような中庭には尚更、人はいないはず。
それでタカセの友人は訝しげな目を向けたのだ。
タカセは校舎内からその人物をよく見た。
とある人物に似ていたからだ。
鞄から眼鏡を取り出して、確認するとタカセのもやもやが解消された。
その時、ベンチに座った人物がタカセと目を合わせた。
タカセはしばらくその者と見つめ合い、その者が立ちあがった時、友人に「ごめん」と伝え、その場から足早に離れた。
昇降口までの長い長い廊下がこの日ばかりは憎らしかった。
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