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朝の日射しと共にタイラーは起床した。
時刻は午前6時半だ。愛犬のゴールデンレトリバーであるジャーニーはまだ眠たそうにあくびを掻いている。
「おはよう、ジャーニー。いい子にしてたか?」
毎朝の日課であるジャーニーとのじゃれあいをしてから、朝食と昼食の弁当を作る。
最初はファーストフードやインスタント食品ばかりだったが、ある女の子に出会ってからガラリと生活が変わった。
食材の選び方や様々な料理を教えてくれたり、一緒にご飯を食べたりと家族の様な存在だ。
朝食を済ませ、ジャーニーにドッグフードを与えた後、歯磨きをしながらスーツに着替える。
日本の朝は忙しいのだ。
丁寧に髪を整えている時、チャイムが鳴った。ジャーニーは尻尾を振りながら玄関に向かっていった。
「急がないと…!忘れ物は無しっと。」
玄関に向かい、ドアを開けると1人の少女が立ち尽くしていた。
茶色のひとつ縛りの髪に小柄な体格、整った顔立ちをした制服姿の少女は笑顔で挨拶をする。
「おはようございます、先生♪」
少女の名は『小早川 葵』。天海学園に通う生徒であり、タイラーの自宅の隣に住んでいる近所である。
彼女には色々とお世話になっている。
「おはよう、葵ちゃん。まだ早いけど大丈夫か?」
「大丈夫です。寝坊するよりはマシですから。」
「ハハハ、そうだね。それじゃあ、行こうか。」
はいと元気よく返事をする葵。タイラーは彼女と共に登校する。
天海学園は自宅から歩いて15分のところにある大きな学園だ。まだ7時半なのに天海学園に向かう生徒の姿が見える。
「葵ちゃん、宿題は終わったのかい?」
葵はドキッとした。そして深くため息を着いた。
「実は…英語がまだなんですよ。」
「英語?駄目じゃないか。期限は明日までなんだぞ。」
「うっ…、分かってます。…あ、そうだ。今日、先生の家に来てもいいですか?」
「構わないが…、ああ、そういうことか。要は先生に英語の宿題の手助けをして欲しいということだな。」
葵は冷や汗を思わず掻いた。全部考えていたことが的中しているからである。
「ダメ…ですか?」
上目遣いで伺う。タイラーは諦めていた。どうも女性には甘いようだ。
「分かったよ。終わったら家に来なさい。アドバイスしてやるよ。」
「やったー!!ありがとう、先生♪」
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