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俺の頭を撫で続ける大ちゃんの手を軽く払いのけ、そのまま少し睨み付ける。 「そういう兄貴面…いい加減やめろよ」 「なんで?」 「…末っ子のくせに」 「それ、関係ないだろーっ?お前はいつだって俺の可愛い可愛い弟だよ」 …まあ、たまにあるこういうのにはついイラッとしてしまうけど。 それにしたって、いつまで俺は大ちゃんの弟分で、幼馴染みで、親友のままなんだろう。 きっとこれ以上の関係なんて無いと解ってはいるけれど、心のどこかで期待してしまっている自分がいる。 「そういえば、志望校とか決めてんの?」 「………N高」 「って、それ俺と同じとこじゃん。まあ、偏差値も高くないし大丈夫だろっ」 「当たり前だろ。出来の悪い兄が居る弟は要領が良くなるんだよ」 少しからかってやれば大ちゃんは「こらっ」と優しく俺の頭を叩いた。    そのまま両腕を自分の後頭部を支えるようにして組み、空を仰ぎなからまるで独り言のように呟く。 「これでお前とは幼稚園から高校までずっと一緒ってことになるのか」 「嫌かよ……」 「んっ?いや、別に。ただ…本当に、お前って俺のこと好きだなーって思ってさ」 特別な意味なんて何一つ込められていない。 それでも俺の心臓は微かに跳ねた。 「…好きだよ」 好きだから高校も同じ所に行こうと思ったんだ。    じゃなかったら、もっと下の所に行こうとしてる。    たった一年という少しの間だけでもいいんだ。    一年でも良いから同じ道を歩いて、同じ学校に通い、同じ制服に腕を通したい。    ただ、それだけなんだ。 「うん、俺もっ」 大ちゃんは俺の顔を覗き込むように身を屈め、ニコッと笑う。    こういうとこが狡いんだ。 何も解ってないくせに…、何も知らないくせに好きという言葉に同調する所や、こうして無防備に顔を近付け笑顔を見せる所とか。    狙ってしているんじゃないかと不意に疑ってしまいそうになる。   
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