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そして、高校生活はといえば勉強もそこそこにかなり満喫していた。
中学の頃と比べて群れる事が減った今では、仲の良い友人が数人居るだけで満足が出来る。
寧ろ、そちらの方が自分に合っていた。
自分で言うのはあれなのかもしれないが、元々神経質な俺は集団の中に居るというのは居心地の良いものではなかったんだろう。
だからこそ、居心地が良く中学時代と比べれば自由が増えた高校生活に欠点などさほど無い。
しかし、日が経つにつれて気付いたことがあった。
そして気になること――気に食わないことが生まれた。
初めはそう、一学期の中間テストの結果が職員室前に貼り出されたあの日。
テスト結果、点数で決められた数字だけの順位、そこから生まれる人間のランク付け、格付け。
そんなものに心底興味は無かったが、友人に連れられ職員室前に行った俺はそこで大ちゃんを見付けた。
人のことは言えないけれど平均以下の身長しかない大ちゃんは溢れ返る人混みの中に埋もれていて、そんな姿を見れば自然と笑えてきてしまう。
後ろから声をかけて驚かせてやろう。
それから、この状況をからかってやろう。
そう思い立ち足を一歩踏み出したとほぼ同時に大ちゃんが人混みから出てきた。
誰かに手を引かれ、それを必死に掴んで………。
「っぷはあぁ…ッ!し、死ぬかと思った……」
「だから、見るのは放課後にしようって言ったのに」
「だって、気になるじゃん!いのちゃんの結果!」
「…なんで俺のを一番に気にするかなっ」
困ったように眉を下げながらも、どこか嬉しそうに微笑んだその人は自然な動作で大ちゃんを掴んでいた手を離し、そのままその手を大ちゃんの頭へと持っていく。
「ったく…。三年になっても変わらないね」
「何をっ!?この一年で5㎜も伸びたんだからな!今年こそはいのちゃんを越すんだから覚悟しとけよ!」
「ははっ、そういう意味じゃ無かったんだけど…うん、まあ、頑張れっ」
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