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幼馴染み。
そう呼べる間柄が居るというのは最近では少し珍しくなってきたんじゃないかと思う。
物心が付いた頃にはもう既にそいつは側に居て、友人というよりも家族という表現の方がそれに近い気がするぐらいに今の今までお互いがお互いの側に居続けていた。
勿論片時も側を離れなかったわけじゃない。
年が二つ離れていたせいもあってか家が近いから行き帰りは一緒にしていたが、学校に着いてしまえばそれっきりになる。
自分達の教室で自分達の友達と仲良くして遊ぶ。
激しい干渉はしない。深入りはしない。
それが二人の関係性を保たせている要因だと思う。
だけど、二つ年が離れている分、やはり小学校と中学校とで分かれてしまうのは仕方のないことで、先にあいつが中学に上がったこと
をキッカケに一緒にしていた行き帰りもいつの間にかしなくなっていた。
それでも、関係は途絶えることなく継続し続け、家族ぐるみで仲が良かったせいもあって休みの日などはどちらか片方の家に遊びに行ったりしていた。
近すぎず、遠すぎない。
そんな距離感がなんとなく俺は好きだった。
そのまま月日は巡り、今。
幼馴染みであるあいつ――大ちゃんは高三になり、俺も高校へ入学した。
何も変わらない。外面や肩書きが変わった所で俺達の関係性は全く何も変わってはいなかった。
幼馴染みはずっと幼馴染みのままで山もなく谷もなく平行線上を辿っている。
それでも、俺は好きになってしまっていた。
幼馴染みである大ちゃんのことを。
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