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大ちゃんを初めて意識したのは中二の夏。
あの日、俺は初めて大ちゃんを本気で怒らせた。
中学二年といえば何かと多感になり、全てが勢い付いてくる。
言動やら行動やら思考や感情さえも。
生活にも慣れ始め、人間関係やグループ分け、対個人や対グループでの上下関係のようなものもハッキリとしてくる時期。
自分の立ち位置も上手く把握し出す時期だった。
俺も例外ではなく、自分がどれぐらいの位置に居る存在なのかを理解し、それに見合った行動をしていた。
まあ、こんな行動をしていたから、あの位置に居たのかもしれないけれど。
寧ろ後者が正解なんだろうけれど。
そんな時期の中、俺は勉強なんてろくにせずに毎日夜遅くまで友達と遊び歩いていた。
おまけに大人の真似事をしたくなる年頃でもあるもんだから、煙草は嫌いだったから誘われたとしても断固として吸わなかったが、酒
は飲んだりして…彼女とも順調で何もかもが波に乗り上手くいっていた。
だから、まるで自分はもう一人前になったと思い込んだりしていた。
周りから羨まれる程に色んな女と付き合って、キスをして体を重ねて、自分は凄いのだと、大人なのだと思っていたし、周りからも確かにそう思われていた。
なのに、大ちゃんは俺に向かって言う。
俺の一番の理解者であったはずの幼馴染みは言う。
「あんまり羽目、外すなよ」
眉を八の字に下げながらも微かに笑う。
その言葉が―――特に何も思っていなさそうな余裕を持て余した笑顔が珍しく癪に触った。
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