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ガキ扱いされているようで気に食わなかった。
たった二つしか年は変わらないのに、年上ぶられているのがムカついた。
今、改めて考えてみると…あの時の俺は嫌だったんだろう。
大ちゃんだからこそ何かもっと違う言葉をくれると期待していたんだ。
だから、少し裏切られた気分になった、勝手に裏切られた気でいたのだと思う。
けど、その時の俺はやはり餓鬼だったんだろう。
どうしようもなく嫌で、嫌で…腹が立った。
「なんだよ、その上から目線の物言い。そういう大ちゃんはまず誰とも付き合ったこと、ないんじゃなかったっけ?」
棘のある言い方をすれば、大ちゃんはバツが悪そうに目線を下へ落とし、誤魔化すようにまた笑う。
それは、紛れもない肯定。
ほら、やっぱり思った通りだ。と心の中で嘲る。
俺は全てを知っている。
大ちゃんのことなら、何でも知っている。
誰よりも…そう、本人である大ちゃんよりも……。
誰かと付き合った経験は一度も無い。
まず誰かをそういった感情で好きになったことがないんだろう。
皆のことは大好きだけど、その中の人に特別な感情を抱かない。抱けない。
皆が好きで、皆が大切で、皆…平等。
きっとそんな所だろう。
それなら、俺の方が何倍も上じゃないか。
大ちゃんの方が何も分かっていないくせに偉そうに年上ぶるなんて馬鹿馬鹿しく感じた。
だから、わからせてやろうと思った。
俺は餓鬼じゃないし、もう大ちゃんと同等の所…いや、それ以上の位置に居るのだと。
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