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何か…とんでもないことをしてしまったんじゃないかと今更ながらに気付く。
自分が一体何をしてしまったのかを自覚する。
そして、目の前に居る幼馴染みの涙で潤みながらも隠しきれていない嫌悪を示す瞳を見て、顔がカッと熱くなり、どこかで何かが吹っ切れたような気がした。
「…そんなに俺のことが嫌かよっ、」
「え……っ?」
「嫌なら出ていきゃいいだろ!もう、俺に関わるなよ…」
「…そ、そういうわけじゃ」
「いいから出てけッ!」
いきなり男にキスをされればどんな奴だったとしても嫌に決まってる。
そんなことは考える余地もなく分かるはずなのに、この支離滅裂な感情を止めることは出来なかった。
そのまま大ちゃんは酷く傷ついた表情を浮かべて、俺の部屋から出ていった。
自分は何を考えて、何をしているんだろう。
大ちゃんにあんな表情をさせる程、何がしたかったんだろう。
本当は呆れるまでに仕様もないことじゃなかったのか
「っ、はあ……」
息を深く吐き出しても、胸にある重い鉛は無くなることはない。
さっきまで大ちゃんが居てあんな事があったとは想像もつかないぐらいに静まり返った部屋で蹲り、苛立ちを押さえるように思い切り前髪を掴んだ。
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