黒い影

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リビングのほうでは酒に酔ったのか 父親が大きな口をひらいて 眠っている 「父さん風邪ひくよ」 起こしてもおきない父親に 毛布を一枚かけ 出かける準備をした 「それじゃあ、母さん行ってくるよ」 支度を終え母さんに声をかけ ギターを片手に玄関へ向かった 「ユウ、気をつけていくのよ」 「ああ」 これが母との最後の会話になった 玄関の鍵をしめて まだ寒さが残る、4月の夜空をみながら 俺は、歩いて駅のほうへ行くことにした
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