*僕と君

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*僕と君

静かな放課後の学校。 誰もいない、科学準備室の前の階段に僕、吉瀬 碧砂はいた。 パタ、パタタッ、ペタ 「あっ、よいしょっと」 階段から声が聞こえる。 僕はそれが誰の声なのかがわかる。 ぱたぱたとスリッパを鳴らしながらおりて来るその人を知っている。 僕は偶然を装って、階段の1番したのだんに座る。 彼女からはまだ、僕が見えていない。 「あれ?碧砂(あおさ)いたの。」 振り返ると、歩きずらそうにスリッパを操る彼女がおりてくる。 所々でスリッパが脱げてしまいその度に体制を整えている。 「靴。」 ゆびをさすと罰の悪そうな顔でこっちを見る。 「また、すられちゃった」 そういって微笑む。 その笑顔がなんだか悲しかった。 彼女が靴箱から靴を盗まれたのは今年に入って4回目。 全ては俺のせいだとわかっているのに何もできない。 そして、彼女も責めない。
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