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「巫女は優しさに溢れ誰からも愛されていた。巫女は龍の不思議な雰囲気にれ、龍は桜のように華麗な巫女にお互い惹かれあっていった。しかし嫌われないだろうかという恐怖心から正体を明かすことはなかった。」
父様は目をふせた。
「幸せな刻は突然東の地より来たりし豪族の手によって潰されてしまった。男は龍の肉を食らえば不老不死の力が宿るという噂を聞きやってきたのだ。民はそんな男に対し反抗をした。怒った男は次々に民を殺していったのだ。」
『…。』
「龍と巫女は集落の異変に気づき向かう。そこには老若男女関わらず無惨にも刀により切り捨てられた死体があちこちに転がっていた。襲い来る敵に巫女を守る為隠していた力を使う龍。龍を見つけた豪族は一本の変わった矢を取り出し龍に向け放つ。その矢は出雲の国より持ち去られし神殺しの矢だった。しかし矢は龍には当たらなかった…巫女が前に出て自らの体で受けとめたのだ。」
小夜の目から出た雫が左の頬を流れ地面へと落ちる。
『それからどうなったの?』
「龍は怒り豪族の男や家来達を瞬く間に倒した。龍は巫女を抱いてこの神社の裏山のどこかの洞窟に消えて行ったそうだ。」
『悲しい話…。でも龍玉は?』
「龍玉は生き延びた民に預けたそうだ。この愛した人がいた地に再び災いが起きたときのために。」
『それじゃ…今また現れたということは…。』
「そうかもしれない。ただ今の話は言い伝えで本当なのかは分からない。村にある池は龍の一撃でできた穴という噂もあるけどね。」
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