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『おじさん何かあったんですか?いつもより元気がないみたいですけど。』
「あら~お小夜ちゃんにはばれてしまったか~。」
おどけて言うおじさんだが本当にいつもの覇気がないのだ。
「実はねそのことでお小夜ちゃんの親父さんに相談があってね。」
『父様に?』
すると境内の奥から神主である父が現れた。
「お~金三郎さん、いつもご苦労さまです。」
「時助さん、おはようございます。いやはや実はちょっとご相談がこざいまして…。」
「はぁ、してどのような?」
父様は金三郎さんに境内の端にある縁に座るよう促し話の続きを聞く。
「いや実は噂に聞いてるかもしれないが隣の国が戦の用意をしていたのは聞いていたかね?」
「はい、確か10日程前くらいだったかお詣りに来られたかたから聞きました。」
「それがこの国に攻め込んできたんだと…この先にある2つ向こうの村が襲われ焼かれたって話だ。」
その話に私は驚かずにはいられなかった。隣の国とは長年戦も無く平穏な暮らしを過ごしていたからだ。
「しかし殿様は何か手を…」
「国境に砦を築いて待ちかまえていたらしいがあまりの軍勢に2日程で落ちたらしい。この村にやってくるのもあっという間かもしれん。」
「そうですか…ならば用意をしなければいけませんね。金三郎さん、村の人に戦がこの地で始まった時はここに集まってもらうように伝えて貰ってもいいですか?」
「わかった。してどうするかね?」
「ここの裏の森に隠れられる場所があるんです。そこに食糧などを持ち込み隠れましょう。家は焼かれ田は荒らされるかもしれませんが命あってこその生活です。生きていればまたやり直すことができます。」
「そうだね。よし早速伝えてこよう。」
すると金三郎さんは立ち上がり急ぎ足で鳥居をくぐって出ていった。
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