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あいつ―――相澤 廉(アイザワ レン)は、順調にドロップアウトの道を進んでいる。
「開けたのかよ。」
「勝手に開いた。」
「んなことあるか、馬鹿。」
そう言うと相澤は無邪気っぽく笑った。
笑顔の裏に罪悪感を残して―――
「まったく…」
溜め息をついて見せると相澤は引きつった笑みをこぼす。
相澤の片方の耳に開いたピアスの穴。
呆れてみせるもののそのピアスが相澤に似合っていてしょうがない。
俺、加藤 悠希(カトウ ユウキ)はイスにまたがり、その左耳に開いたピアスを見つめた。
「卒業してから開ける予定じゃなかったのか?」
「予定はな。」
質問を繰り返すと、開き直ったように相澤が言った。
その言葉にまた溜め息をついて見せる自分の顔に微かな笑みが浮かんでしまう。
その笑みの意味はわからない。
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