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「あ、歯医者。」
服を着替えて、部屋を出ようとしたとき不意に思い出した。
奥歯が虫歯になっていた。
だから、寮の近くの歯医者に行こうとしていたのを思い出した。
ついでに行ってこようか、
どうせどこに行くわけじゃないのだから。
とぼとぼとあるいて歯医者にたどり着く。
ドアをあけた瞬間、歯医者特有の臭いに顔をしかめる。
行動が一瞬だけ止まったが、そのまま何知らぬ顔で靴を履き替えた。
義務。
歯医者に行くことが義務的になっている感覚がした。
強いて言えば、強制的な義務。
歯医者には、小さい頃から行っていた。
歯並びが悪かった自分は、父親のすすめで矯正をすることになった。
それは、クソ痛くて、夜が眠れなかった時期もあった。
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