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『それって単に嫉妬じゃん?』
――――嫉妬?
電話越しに言われた言葉が随分と深くまで刺さった気がした。
「嫉妬、ですか…。」
『あぁ、』
中学の時の先輩に電話をして、流れでいつの間にか相談していた。
『信頼とか、どうのこうのじゃなくて、お前の単なる嫉妬だよ。』
「そう、ですか…」
多分、知っていた。
でも知らないふりをしていた。
自分の感情に蓋をして、気がつかないフリをしていた。
「でも、キモくないですか?男が男に嫉妬って…」
『それだけ強い絆なんだろ?』
その先輩の言葉が妙に優しい。
「すいません、なんかありがとうございました。」
『いいよ、別に。つか、俺から言えることはこんなことしかないけどな、』
「いや、色々助かりました、」
『そっか。てゆうか、今更電話してきて、なんかあんの?』
冗談っぽく先輩が言う。
その問いに俺は笑いながら答える。
「無いですよ。今更、女を返せとか思わないっすもん。」
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