(1)居眠りをした罰

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昨日、美術部の部室で裸になってポーズをしようと、 上着は脱いだんだけどスカートがどうしても脱げなくて、あたしは泣きだしてしまった。 順子さんが、 「紀絵さん、今日はここまでよ。もう、遅くなったから、今日はこれくらいにして、続きは明日にしましょう」 と仰って、 昨日は許してもらえたのだけど、今日は、もう許してもらえっこない。 昨日、帰りがけに順子さんが言われた言葉が、あたしの耳から離れなかった。 「明日は、もっと広い会場で、先生方や生徒もいっぱい呼んであげるから、そこで全裸になりましょうね。沢山の人に見ていただけたほうが、あなたも嬉しいでしょ」 もう逃げようがない。 あたしは皆さんの前で、服を全部脱いで、丸裸になるしかない。 しかも、今日の放課後はもっと広い会場で、先生や生徒もいっぱい呼ぶと順子さんはおっしゃったのだ。 もう逃げようがない。 こんなことになるくらいなら、昨日思い切って裸になってしまえば良かったと、いくら悔やんでももう遅い。 芸術のためだから、どんなに恥ずかしくても辛抱するしかないんだけど、 せめて今日あたしが裸のモデルになるということを、自分のクラスのトモダチだけには知られないようにしなくっちゃいけない。 もし知られてしまったらおそらく全員が、あたしの裸を、芸術とは関係なく、興味本位で見に来るに違いない。 そんな、 なんだかわくわくするような、恥ずかしくて死にたいような、 複雑な心境で迎える放課後が迫っているというのに、 あたしは5時限目の古文の授業のとき、つい居眠りをしてしまった。 「島津!スカートを捲ちゃうぞ!」 という古文の先生の怒声が聞こえた時、あたしはなんだか未来を予知するような夢を見ていた。 それは、恥ずかしいことを書くことが少し好きなあたしだって、 恥ずかしくて書けないような夢だった。 でも、ちょっとだけ書いちゃうね。 夢は自分の秘められた願望が現れるって言うけど、あたしの夢は必ずしもそうじゃないよ。 これから書くことをあたしが秘かに願望してるなどと、変な誤解をしないでね。 ・・・
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